親が要介護になったら?|寝たきりを防ぐために家族が今すぐできること
「親が要介護になったら、何をすればいい?」
「施設に入れるべきか、それとも在宅介護を選ぶべきか…」
親の介護は、ある日突然やってきます。仕事や家庭を抱える中で、何から始めればいいのか分からず、不安と戸惑いを感じる人は少なくありません。
実際、介護は「要介護認定」「介護サービスの選び方」「在宅と施設の判断」など、初めて直面すると複雑で迷うことばかりです。しかし、最初の一歩を間違えると、親の生活の質だけでなく、家族全体の負担が大きくなることもあります。
本記事では、「親が要介護になったときに本当に知っておくべきこと」を、分かりやすく整理しました。とくに寝たきりを防ぎ、親が自立した生活を続けるために欠かせないリハビリや機能訓練の重要性にも触れています。
「今、何をすべきか」「どう動くべきか」を一緒に確認し、親のこれからを支える最善の選択肢を見つけていきましょう。
取締役/理学療法士上村 理絵
日本から寝たきり(寝かせきり)を無くすことを使命とする
家族がいつまでも元気で自立した生活を送れるよう日常生活に必要な身体機能のリハビリに特化したディサービスを運営しています。
ご覧いただきました弊社のホームページにご案内した通り、寝たきり率が世界で最も高い日本ではリハビリを受けられない難民とも言うべき高齢者が年々増加し喫緊の社会保障制度の課題だと考えております。
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1.親が要介護になったときに最初にすべきこと
まず、親が要介護になったとき、最初にすべきことを解説します。
1-1.介護認定と申請の流れを知る
親が「介護が必要かもしれない」と感じたら、まず行うべきは「要介護認定」の申請です。
要介護認定とは、介護保険制度において、市区町村が「どの程度の支援や介護が必要か」を判断するための仕組みです。
この認定を受けることで、訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルなど、介護保険が適用されるさまざまなサービスを利用できるようになります。
具体的な流れは次のとおりです。
- 市区町村の窓口または地域包括支援センターに相談
- 「要介護認定」の申請を行う
- 市の担当職員が本人を訪問し、心身の状態を調査
- 主治医による「主治医意見書」が提出される
- 介護認定審査会が調査結果と意見書をもとに介護度を判定
- 申請からおおよそ30日以内に認定結果が通知される
- 介護保険証が交付され、必要な介護サービスの利用が可能になる
「まだ大丈夫」と思わずに、変化を感じたら早めに相談・申請することが大切です。
1-2.ケアマネジャーと地域包括支援センターの活用法
親の介護が必要になったとき、何から始めればよいかわからずわからない際は、地域包括支援センターに相談しましょう。
地域包括支援センターは、介護に関する総合窓口です。利用できる制度や適したサービスについて、無料で具体的なアドバイスが受けられます。
介護保険サービスを利用するには、ケアマネジャーの存在も欠かせません。ケアマネジャーは親の状態や生活環境をふまえた「ケアプラン」を作成し、訪問介護やデイサービスの手配まで担ってくれます。
専門家のサポートを受けることで、以下のようなメリットがあります。
- 必要な介護サービスを無駄なく利用できる
- 家族の負担を軽減できる
- 制度の見落としや過剰な出費を防げる
ただし、ケアマネジャーの提案をすべて鵜呑みにするのは避けましょう。なかにはマニュアル通りの対応しかせず、個別の事情に配慮できないケースもあります。
専門家を頼りつつも、自分自身でも親の身体の状態や介護の基礎知識を学ぶことが大切です。詳しくは「親の介護で不幸にならないためのポイント」で解説しています。
1-3.親が一人暮らしの場合のリスクとサポート手段
要介護の親が一人暮らしを続ける場合、最大のリスクは「異変に気づくのが遅れること」です。
転倒や体調悪化が起きても、誰にも発見されず症状が深刻化してしまうケースは少なくありません。
こうしたリスクを減らすためには、介護サービスをうまく活用することが有効です。
例えば通所リハビリや訪問看護などを定期的に利用することで、専門スタッフが健康状態をチェックし、日常の変化にもいち早く気づいてくれる「見守りの目」となります。
また、デイサービスのような通所型のサービスでは、他の利用者との会話や運動を通じて、孤立感の軽減や心身の活性化にもつながります。社会とつながる場としての役割も果たすため、本人の生活の質向上にも効果的です。
さらに、安否確認サービスや見守り機能付き家電の導入もおすすめです。
一定時間動きがないと家族に通知が届くセンサーや、電気ポットの使用状況で生活を見守るサービスなど、親のプライバシーを尊重しながら異変に素早く気づける仕組みも整いつつあります。
一人暮らしの親を見守るうえで大切なのは、すべてを手助けしようとすることではなく、「適切な支援をどう組み合わせるか」です。
過干渉を避けながら、安心して暮らせる環境を整えることこそが、親の尊厳と自立を守る第一歩になります。
2.いきなり施設は早い?在宅介護の選択肢を見直そう
親が要介護になると、「施設入所が必要かもしれない」と過度に考えてしまいがちです。しかし、いきなり施設入所を検討すべきではありません。
ここではいきなりの施設入所をおすすめしない理由や、在宅介護を続ける方法を解説します。
2-1.「すぐ施設」は親の意欲を奪うかもしれない
要介護となった親の今後を考えたとき、「もう自宅では無理かもしれない」と不安になり、すぐに施設入所を検討する方は少なくありません。
しかし、環境が急変することは、本人にとって大きなストレスとなり、混乱や意欲の低下を招くリスクがあります。
高齢者の中には、「できる限り自宅で暮らしたい」という強い希望を持っている方も多く、そうした意志を無視して施設に入れると、心が閉じてしまい、体調の悪化を招くこともあるのです。
もちろん、安全性や介護負担を考えると施設入所が必要なケースもありますが、まずは在宅でできる支援策をしっかりと把握し、検討することが大切です。
介護保険を使えば、通所リハビリや訪問サービス、住宅改修や福祉用具の貸与など、多様な支援を受けられます。
親の尊厳や生活の質を保つためには、「どこで生活するか」ではなく、「どんな支援を受けながら生活するか」が重要です。
施設ありきで進めるのではなく、在宅介護の可能性を見直すことから始めましょう。
2-2.通所型リハビリ施設という選択肢
親を寝たきりにさせないために、通所型リハビリ施設の利用も検討しましょう。
介護が必要になったからといって、すぐに施設への入所を決める必要はありません。身体機能の改善を目的としたリハビリを適切に受けることで、親自身が自立した生活を取り戻す可能性は十分にあります。
通所型リハビリ施設では、理学療法士などの専門職による個別の機能訓練を受けることが可能です。
「歩く」「立ち上がる」「着替える」といった基本動作を鍛えることで、要介護状態の進行を防ぎ、自分の力でできることが増えていきます。
要介護状態であっても適切なリハビリを受けることで、趣味や外出といった生活の楽しみを再び味わえるきっかけにもなるでしょう。結果として、家族による介護の手間も軽くなり、親子ともに精神的・肉体的な負担が減る好循環が生まれます。
経済的にも、介護保険の適用により自己負担は1〜3割と比較的軽く、通所しやすい点も魅力です。
通所型リハビリは、親の“できる力”を引き出し、家族全体の生活にゆとりをもたらす選択肢です。施設入所の前に、まずはリハビリによる機能改善の道を検討してみてください。
2-3.リハビリで「できること」が増えれば在宅は続けられる
在宅介護を続けるうえで最も重要なのは、親が日常生活を自力でどれだけ行えるかという「自立度」です。
リハビリによって、トイレ動作や食事、着替えなどの基本的な動作が改善されれば、自宅での生活を継続することは十分に可能です。
さらに、「まだ自分でできる」という感覚は、本人の自信や意欲にも直結します。
何か一つでも自分でできることがあると、それが日々の活力につながり、認知機能や精神面にも良い影響をもたらします。
家族にとっても介護の負担が軽減されることで、身体的・精神的に安定した生活が送れるでしょう。
結果として、親も家族も無理なく在宅介護を続けられる環境が整っていくのです。
関連記事:「ほぼ寝たきり」は終わりじゃない!見過ごされがちなリハビリの力
3.親の介護でキャリアの中断はあり得る
親が要介護状態になったとき、子どもである自分がどこまで関わるべきかという問題に直面する方は少なくありません。
とくに、親が一人暮らしであったり、兄弟姉妹の支援が期待できなかったりする場合、介護の主な担い手が自分になり、仕事と両立できずにキャリアを中断せざるを得ないケースも実際に起きています。
介護離職という言葉があるように、介護と仕事の両立は想像以上に難しい場面が多く、体力的・精神的な負担は計り知れません。
職場への相談や勤務形態の見直しができる環境にあればよいですが、それが難しい場合には「退職」や「転職」といった決断を迫られることもあります。
事実、SNS上でも次のような声が見られます。
介護が始まることで、自分自身の生活設計や将来のキャリアに大きな影響を及ぼす可能性があることを、まずは認識しておくことが大切です。
そのうえで、できる限り早い段階で在宅サービスやリハビリ支援を活用し、負担を分散できる体制を整えることが、仕事と介護の両立において重要なポイントとなります。
4.親の介護で不幸にならないためのポイント
親の介護はキャリアなどの生活においても、メンタルにおいても大きな負担になるものです。ここでは、親の介護で不幸にならないためのポイントを解説します。
4-1.支援はどんどん活用しよう
親の介護が始まると、「自分がしっかりしなければ」と、すべてを抱え込んでしまう方が少なくありません。しかし、介護は家族だけで完結するものではなく、社会全体で支えるべき課題です。
そのため、制度として整備されている支援を遠慮なく活用する姿勢が不可欠です。
介護保険制度では、訪問介護・通所リハビリ・ショートステイなど、状態に応じた多様なサービスが利用可能です。要介護認定を受けていれば、1〜3割の自己負担で専門的な支援が受けられるため、経済的な負担も比較的軽く抑えられます。
また、介護保険外でも地域によっては、次のような独自支援を受けられるケースもあります。
- 自治体による安否確認サービスや緊急通報装置の貸与
- タクシーやバスの割引、粗大ごみの戸別回収
- 配食サービスや買い物代行などの生活支援
ただし、これらの多くは「申請しなければ利用できない」仕組みになっているため、知らないままでは恩恵を受けられません。
「親のために」と頑張るほど、視野が狭くなりがちですが、頼れる制度やサービスは積極的に使って、心身の余裕を確保することが、結果的に良い介護につながります。
関連記事:要介護認定でお金はいくらかかる?もらえるお金は?自己負担・支援制度まで解説!
4-2.親の身体機能の維持で寝たきりにさせない
親が要介護になると、つい「無理をさせないように」と考えてしまいがちです。しかし、安静にしすぎることが、かえって身体機能の衰えを早め、寝たきりにつながるケースが少なくありません。
高齢になると、動かない時間が長くなるほど筋力やバランス感覚の低下が進みやすく、体を支える力を保つのが難しくなります。転倒や関節のこわばりといった二次的な問題も生じやすくなり、自立した生活から遠ざかる要因になるのです。
こうした悪循環を防ぐためには、次のような適切な運動やリハビリを行うことが欠かせません。
- 通所リハビリや訪問リハビリによる専門的な機能訓練の活用
- 毎日の生活の中で、立ち上がりや歩行を意識して行う
- 簡単な筋力トレーニングやストレッチを習慣づける
家族が手を差し伸べることは大切ですが、「できること」まで代わってしまうと、本人の身体機能や意欲を奪うことにもなりかねません。自分でできることは続けられるように支援し、活動の機会を確保することが、結果として介護の負担軽減にもつながります。
4-3.家族と協力して情報収集を行う
家族自身が主体的に情報を集める姿勢が不可欠です。
介護に関する判断をすべて医師やケアマネジャーに任せてしまうと、結果的に親の生活機能を早期に低下させてしまうおそれがあります。
例えば、医師が「安静第一」と判断すれば、親がまだ自分で動けるにもかかわらず、必要以上にリフォームやベッドの導入が進められてしまうことがあります。ケアマネジャーも医師の意見をそのまま受け入れ、積極的なリハビリの選択肢を提示しないこともあるのです。
こうした状況を防ぐには、家族が自ら正しい情報を集め、親に本当に必要な支援や環境を見極めることが重要です。書籍や信頼できるWebサイト、実際に介護を経験した人の体験談など、情報源はさまざまにあります。複数の視点から情報を比較・検討することが、偏りのない判断につながります。
また、一人で抱え込まず、家族同士で役割を分担しながら協力して情報収集を進めることも効果的です。親の今後をどう支えていくのか、家族全体で考えながら判断できる体制を整えましょう。
5.親の介護が不安ならリハビリしかない
結論、親の介護が不安な場合はリハビリを行うことが最も重要かつ最善の選択です。ここでは、親の介護においてリハビリが重要な理由を解説します。
5-1.筋肉を衰えさせない
「親が将来寝たきりになったらどうしよう」という不安を解消するには、筋肉を衰えさせないことが何よりも大切です。
高齢になると、ちょっとした運動不足でも筋肉量は急速に減少していきます。とくに病気やけが、あるいは介護の始まりによって外出や活動の機会が減ると、思っている以上のスピードで筋力が失われていきます。
親の介護不安を抱えないためには、適切なリハビリによる筋肉の維持・強化が不可欠です。筋力は何歳からでも鍛え直すことができ、機能の回復や維持は決して不可能ではありません。
無理のない範囲で体を動かすことで、「まだ動ける」という自信が芽生え、前向きな気持ちも取り戻せるのです。
リハビリはただの運動ではなく、寝たきりを防ぐための「生活の基盤」を整える重要な手段です。親の介護に直面したときこそ、「今、筋肉を衰えさせない」選択が将来の生活の質を左右します。
5-2.親としての自信を喪失させない
介護の中で何でも子どもが先回りしてしまうと、親の「生きがい」や「役割」を奪ってしまうことになりかねません。
介護保険の手続きや家事など、すべてを家族が引き受けてしまうと、親は「自分がいなくても何とかなる」「もう年だから仕方ない」と感じ、徐々に自信を失っていきます。
こうした精神的な老化は、活動量の低下や筋力低下につながり、結果的に要介護度を高めるリスクとなります。とくに「高齢者だからもういい」といったあきらめの気持ちは、動く意欲や社会とのつながりを断ち、日々の生活の質を大きく下げてしまうのです。
重要なのは、親としてのプライドや役割を尊重することです。例えば、「これお願いしてもいい?」と家事の一部を任せたり、「助かったよ」と感謝の言葉をかけたりすることで、親は「まだ自分にできることがある」と感じ、前向きな気持ちを保ちやすくなります。
介護は支配するものではなく、尊厳を支える関わりであるべきです。相手のプライドを傷つけず、できることは任せる姿勢が、心の健康と身体機能の維持につながります。
5-3.運動は認知機能向上にも役立つ
身体を動かすことは、筋力の維持だけでなく、認知機能の低下を防ぐうえでも効果的です。
近年の研究では、軽い有酸素運動や筋力トレーニングが、脳内の血流を促進し、記憶力や判断力の維持に寄与することがわかっています。つまり、日常的に体を動かす習慣は、認知症予防の一環としても重要なのです。
とくに高齢の親が要介護になると、「もうあまり動かない方がいいのでは」と考えがちですが、安全に配慮した上で継続的に身体を動かすことが、かえって脳への良い刺激になります。
リハビリを通じて歩行訓練やバランス運動を行うことで、足腰の筋力が維持されるだけでなく、「できた」「覚えた」といった小さな成功体験が脳の活性化にもつながります。
リハビリを通じて心身の両面から健康を守っていくことが、長く自立した生活を続けるための鍵となるのです。
6.寝たきりにしないために家族ができること
親が要介護になった際、多くの方が「寝たきりになったらどうしよう」と不安になるでしょう。ここでは、親を寝たきりにしないために家族ができることを解説します。
6-1.世話をしすぎずに親の役割を残す
親が高齢になったからといって、すべての世話を家族が引き受けてしまうのは逆効果になることがあります。
介護のつもりで手を貸しすぎると、本人の活動量が減り、筋力や認知機能の低下につながってしまうおそれがあります。こうした“過保護な介護”は、結果的に寝たきりのリスクを高めてしまうのです。
そこで意識したいのが、「親の役割を残すこと」です。
洗濯物をたたんでもらう、野菜を洗ってもらう、食後に食器を並べるなど、無理のない範囲で日常的な作業を任せることで、「自分はまだ家族の一員として役に立っている」という自信にもつながります。
日常生活の中で自然に体を動かす機会があることは、意識的なリハビリにも匹敵するほどの価値があります。家族としては心配な気持ちもあるかもしれませんが、「できることは自分でやってもらう」ことが、長く健康を保つためのサポートになるのです。
6-2.リフォームやベッド導入は「楽さ」と「機能低下」のバランスを
親の介護を見据えて住宅のリフォームや電動ベッドの導入を検討する方は多いですが、「便利さ」だけを重視すると逆に健康を損なう恐れがあります。
段差をすべて取り除いたり、立ち上がり動作を介助機器で代替したりすると、一見安全で快適に見えます。しかし、それによって日常的な身体の動きが減ると、筋力やバランス感覚が急速に衰えてしまうことがあります。
本来なら行えるはずだった動作が失われ、かえって寝たきりのリスクを高めてしまうのです。
そのため、設備を変更する際は、理学療法士や福祉住環境コーディネーターなど、身体機能と住環境の両面に詳しい専門家の意見を聞くことが望ましいでしょう。親が安全に、かつ自立的に生活を続けられるバランスを見極めることが、介護の質を左右する鍵になります。
6-3.リハビリ後の楽しみを一緒に見つける
リハビリは単なる運動ではなく、その先にある“楽しみ”があってこそ継続できます。例えば、次のような目標があるかで本人のモチベ-ションは大きく変わります。
- 孫と一緒にお出かけしたい
- 家族で思い出の場所に旅行したい
- 趣味の園芸や料理を再開したい
親のリハビリに対するモチベ-ションを高めるためには、家族一緒にリハビリ後の楽しみを見つけることが大切です。
小さな目標でも、「それができるようになったら嬉しいね」と声をかけることで、前向きに取り組むきっかけになります。リハビリは、未来の楽しみを叶えるための第一歩です。
関連記事:寝たきりにならないためにできることは?今日から自分と家族ができる対策を紹介
7.リハビリによって自立的な生活を取り戻した事例
ここからは実際に弊社「リタポンテ」を利用して、自立的な生活を取り戻した事例を紹介します。
7-1.歩行困難の70代男性が野球観戦できるまで改善した例
脊柱管狭窄症の影響で歩行が困難となり、外出もままならなくなっていた70代男性。かつては高校野球の観戦を楽しみにしていたものの、症状が進行するにつれ、「もう甲子園には行けないだろう」と外出を諦めるようになっていました。
そんなとき、家族の勧めでリハビリ専門のデイサービス「リタポンテ」に通うことに。初めは短距離の歩行練習から始め、理学療法士の支援のもと、段階的に筋力とバランス機能を回復していきました。
本人の中には「もう一度、甲子園で試合を観たい」という明確な目標があったため、日々のリハビリにも意欲的に取り組めたといいます。
数か月後、家族とともに甲子園を訪れ、スタンドで観戦することが実現しました。
「また行きたい」という前向きな気持ちが生まれ、リハビリの継続にもつながっています。
このように、具体的な目標があることで、リハビリは“身体機能の改善”だけでなく、“生きがいの再発見”にもつながります。
7-2.難病でも家族との食事や自分で排泄ができるまで改善した例
脊髄小脳変性症を患っていた50代の女性は、進行する症状によりコップを持つことも難しくなり、長時間座ることさえ困難になっていました。
転倒リスクが高いため、複数のリハビリ施設で受け入れを断られ、「このまま寝たきりになるのでは」と家族も不安を抱えていたといいます。
それでも彼女には、「家族と一緒に食卓を囲みたい」という強い思いがありました。
リタポンテでのリハビリは、まず“座る”という基本動作からスタート。初めはわずか数十秒の座位保持が限界でしたが、少しずつ姿勢が安定し、手すりを使った動作訓練を重ねていきました。
やがて、トイレまで自力で移動できるようになり、食事の際には口元まで手を運べるまでに回復。家族とともに食卓を囲む時間が戻り、ご主人は「また一緒にご飯が食べられて、本当に嬉しかった」と話しています。
その後、病気は徐々に進行し、彼女は静かに旅立たれましたが、最期まで寝たきりではなく、笑顔で過ごす時間が確かに存在しました。
「最後に同じ食卓を囲めたことが、今も心の支えです」
ご家族がそう語るように、リハビリは「できること」を少しずつ取り戻すための大切な一歩です。
たとえ難病であっても、その想いに寄り添う支援があれば、生活の質を高める可能性は決して失われていません。
8.リハビリにはリハビリデイサービスを利用する
親の介護において、リハビリを継続する環境を整えることは非常に重要です。その選択肢として有効なのが「リハビリデイサービス」です。
リハビリデイサービスでは、自宅では難しいリハビリを、安心・安全な環境で実施することが可能です。本人の体力や疾患に応じたプログラムが組まれるため、無理のない範囲で身体機能の維持・向上が期待できます。
また、通所することで生活にメリハリが生まれ、自宅にこもりがちな高齢者でも活動意欲が保たれやすいのも利点です。自宅での介護だけでは補えない「運動の場」として、リハビリデイサービスは大きな役割を果たします。
ただし、「リハビリ」と名乗っていても、内容が伴っていない施設も存在するため注意が必要です。訓練時間が短く、実質的にレクリエーションが中心になっているケースもあるため、施設選びは慎重に行いましょう。
リハビリデイサービスは、親の「動ける時間」を1日でも長く保つための有効な手段です。施設ごとの方針や訓練内容をよく確認し、信頼できる場所を選ぶことが大切です。
関連記事:リハビリ特化型デイサービスとは?料金や訓練内容など詳しく解説
9.親の介護で利用すべきリハビリデイサービスの選び方
親の介護を行う際、リハビリデイサービスは機能改善の心強い味方になってくれるサービスです。しかし、なかにはリハビリとは名ばかりで簡単なストレッチを行うだけ、専門職ではない職員がリハビリを担当するなどの施設があるのも事実です。
ここでは、リハビリデイサービスの正しい選び方を解説します。
9-1.1回1時間以上の機能訓練が受けられる
親の身体機能を本気で維持・改善したいと考えるなら、「リハビリの時間と内容」にこだわった施設選びが重要です。
「リハビリ」をうたっていても、実際は10分程度のストレッチや軽い体操で終わる施設も少なくありません。
しかし、高齢者の筋力やバランス機能を回復・維持するには、それでは不十分です。とくに、寝たきりや介護度の進行を防ぐためには、1回につき1時間以上の質の高い機能訓練が必要とされています。
例えば、理学療法士の指導のもとで、立ち上がり・歩行練習・バランストレーニング・筋力強化など複数のメニューに取り組むことで、ようやく「日常生活が少し楽になる」といった変化が実感できるようになります。
通所施設を見学する際は、「1回の訓練時間」「専門職の関与」「プログラム内容」といったポイントをしっかり確認しましょう。
リハビリは“受けたこと”に意味があるのではなく、“受けたことで変わった”と実感できることこそが大切なのです。
9-2.PTなど専門職と連携している
リハビリの質を左右する大きな要素のひとつが、理学療法士(PT)などの専門職としっかり連携しているかです。機能訓練指導員が常駐していない、あるいは専門性の低いスタッフのみで構成された施設では、利用者一人ひとりに最適なリハビリを提供することは困難です。
理学療法士は、関節の可動域、筋力、バランス能力などを専門的に評価し、個別性の高いプログラムを組み立てるプロです。とくに、高齢者の身体状況は日々変化しやすいため、その都度の細やかな見立てと対応が重要になります。
可能であれば、理学療法士が常駐している施設を選ぶのが望ましいですが、常駐が難しい場合でも、外部の専門職と定期的に連携して評価・指導を行っている施設であれば安心です。
リハビリの効果を確実に実感するためには、「誰が」「どのように」関わってくれるのかが非常に重要です。見学時には、専門職の有無や関与頻度について具体的に確認することをおすすめします。
なお、リタポンテはリハビリ専門のデイサービスとして、専属の理学療法士が評価した機能改善プログラムを受けられます。
親の寝たきりを予防して、自立した毎日を送ってほしいと思う人は、ぜひご相談ください。
10.介護保険で利用できるリハビリサービスの活用
ここからは、介護保険などの制度を活用してリハビリサービスをお得に利用する方法を解説します。
10-1.要介護認定があれば介護保険で通所リハビリが使える
要介護認定を受けていれば、介護保険を利用して専門職による本格的な通所リハビリを経済的に受けることが可能です。
自己負担は1〜3割に抑えられ、週に数回の通所でも継続的に身体機能の改善を図れます。
とくに高齢になると外出機会が減り、筋力やバランス能力が急激に低下しがちです。通所リハビリを活用することで、自宅にこもりがちな高齢者にも体を動かす習慣が生まれ、心身の機能維持につながります。
さらに、リタポンテのような専門施設では、理学療法士(PT)と連携した個別対応のプログラムを提供しています。安全性に配慮しつつ、本人の状態に合わせた効果的なトレーニングを受けることが可能です。
在宅での暮らしを長く続けていくためには、こうした制度を積極的に活用し、「動ける状態」を維持することが何より大切です。
10-2.要支援未満なら「事業対象者」を活用しよう
要支援・要介護の認定を受けていなくても、65歳以上で生活機能の低下が見られる場合には、介護予防・日常生活支援事業の「事業対象者」としてサービスを受けられる可能性があります。
この制度では、市区町村が実施する「基本チェックリスト」によって該当の可否が判断され、医師の診断や正式な要介護認定を待たずに支援を受けられるのが大きな特長です。
筋力やバランス機能の低下は、本人の自覚がないまま進行することも多いため、「まだ大丈夫」と思っている段階からの早期介入が、将来的な介護リスクの軽減につながります。
地域によっては、通所型の運動プログラムやフレイル予防教室などを実施しており、事業対象者制度を活用することで、これらの支援を受けながら身体機能の回復や維持が期待できます。
本格的な介護が必要になる前に、「今のうちに動く」ことが何より重要です。
11.親が要介護になったらリハビリデイサービス「リタポンテ」にご相談ください

親の介護が必要になったとき、「この先どうなるんだろう」「できるだけ自宅で元気に過ごしてほしい」――そんな不安や願いを抱くのは自然なことです。
私たちリタポンテは、「寝たきりをなくす」という明確な理念のもと、要介護状態になった方がもう一度“自分らしく生きる力”を取り戻すためのリハビリ支援を行っています。
介護というと、「現状を維持する」ことがゴールのように思われがちですが、リタポンテでは改善を目指すことを大切にしています。
例えば、日常のひとコマを「もう一度叶える」ことを目標に、専門職と連携した個別リハビリが受けられるのが特徴です。
- 自分の足でトイレに行けるようになる
- もう一度、家族と外食に行けるようになる
- 趣味や生活の楽しみを再び味わえるようになる
- 寝たきりにならず自立的に老後を過ごす
また、要支援・要介護認定がない方でも、事業対象者認定を活用することでご利用いただけるケースがあります。
「まだ早いかも」と思う段階でも、ぜひ一度ご相談ください。
介護が始まる前も、始まった後も、リタポンテはご本人にも、ご家族にも前向きな介護のかたちを届けます。