RITAPONTE 新宿区のリハビリ専門デイサービス リタポンテ

「ほぼ寝たきり」は終わりじゃない!見過ごされがちなリハビリの力

「もう動けないから、施設を探しましょう」――その一言で、その人が持つ本当の可能性を閉ざしてしまっていないでしょうか。

高齢や病気により「ほぼ寝たきり」と診断された方の多くは、施設への入所や寝たきりを前提とした介護プランを提示されることが少なくありません。

しかし、その判断がリハビリによる回復の可能性を正しく見極めないまま下されている場合もあります。

実際、医療機関やケアマネジャーの中には、機能改善を目的としたリハビリに積極的ではない現場も存在します

その結果、本来は「まだ動ける可能性のある人」が、適切な支援を受けられないまま寝たきりへと移行してしまうのです。

そうした現状に真正面から取り組んでいるのが、リハビリ専門デイサービス「リタポンテです。今回お話を伺ったのは、代表の神戸利文さんと理学療法士の上村理絵さん

神戸さんご自身も、かつてご家族を介護するなかで“リハビリの本当の力”を実感し、その可能性を一人でも多くの人に伝えたいという強い想いを抱いておられます。

「知らなかった」では済まされない。
本記事では、寝たきりを前提としないもう一つの選択肢について探っていきます。

インタビューライター「高萩雄空輝」
SEOライター歴7年。介護・医療・ビジネスなど幅広い業界でコンテンツ制作と取材記事の構成を担当。
近年は介護や地域医療の情報発信にも注力しており、専門家の声を届ける。

取締役/理学療法士 上村 理絵

取締役/理学療法士上村 理絵

日本から寝たきり(寝かせきり)を無くすことを使命とする

家族がいつまでも元気で自立した生活を送れるよう日常生活に必要な身体機能のリハビリに特化したディサービスを運営しています。
ご覧いただきました弊社のホームページにご案内した通り、寝たきり率が世界で最も高い日本ではリハビリを受けられない難民とも言うべき高齢者が年々増加し喫緊の社会保障制度の課題だと考えております。
そこで、この社会問題に一緒に取り組んでくれる志のあるリハトレーナーの募集を行っております。利用者・ご家族があきらめていた事を可能に変える為に…。 ぜひ、あなたからのご応募をお待ちしています!

ほぼ寝たきりの方がリハビリデイサービスを利用する流れとは?

高萩:
本日はよろしくお願いいたします。まず、「ほぼ寝たきり」の方がリハビリデイサービスを利用するまでの流れについて教えてください。

上村:
はい。まず大前提として、寝たきりの方にとっては「自立支援」よりも「生命維持のための機能維持」が優先されます。

例えば、寝返りができないと褥瘡(床ずれ)のリスクが高まりますし、ずっと横になったままだと呼吸や血流も悪くなってしまう。

ですので、まずは「座る」「体位を変える」といった基本的な動作を少しずつ取り戻すことから始める必要があります。

高萩:
リタポンテさんにいきなり通うわけではないのですね。

上村:
はい。最初はご自宅で、看護師さんや訪問リハビリの力を借りながら、座位をとれるように準備していただきます。

そこから段階的に、車いすに移乗できるようになった方がリタポンテに通われます。

神戸:
「寝たきり」と一口に言っても、状況は様々です。病院で完全に寝たきりの方もいれば、自宅でベッド中心の生活を送りながら、ある程度車いすでの移動が可能な方もいます。

移乗ができるというのは非常に大きな意味がありまして、そこまでいければリタポンテでのリハビリは十分可能です。

高萩:
なるほど。では実際に、車いすで通える状態になった方には、どのようなリハビリを行っているのですか?

上村:
最初は本当に小さなステップから始めます。例えば「ベッドから起き上がる」「服を着替える」だけでも立派なリハビリです。

来所時も、送迎車への乗り降りから始まり、施設内を移動して、リハビリ機器までたどり着く。この一連の動作がすべて訓練になります。無理なく週2回程度からスタートし、少しずつ負荷を高めていきます。

神戸:
ただ、病気などを理由に、要介護1や2から急に要介護4や5になってしまった方や、入院中に体力筋力が落ちてしまった方は、いきなりリタポンテでリハビリを始めるのは難しいです。

そのため、最初は訪問リハビリを活用していただき、座位保持などの機能改善を2週間~1ヶ月ほど行ってから、ご本人やご家族、ケアマネージャーさんと相談しつつ、当施設に通っていただくようにしています。

寝たきりからリハビリを通じて自立的な生活を送れたケースとは?

高萩:
段階的に準備をしながらリハビリを進めるんですね。実際にリタポンテさんを利用して、寝たきりの状態から回復されたケースはあるのでしょうか?

神戸:
はい、数多くあります。

私と上村の共著である『道路を渡れない老人たち(アスコム)』でもご紹介しているのですが、特に印象に残っているのは、脊髄小脳変性症を患った50代の女性のケースです。

彼女は病気の進行により、コップを持つのも困難になり、長時間座ることもできない状態でした。転倒リスクが高かったことから、他のリハビリ施設では受け入れを断られ、ご家族も強い不安を抱えていたといいます。

それでも彼女とそのご家族には「また家族揃って食卓を囲みたい」という明確な願いがありました。

リタポンテでのリハビリは、理学療法士が中心となって、“座る”という基本動作からスタートしました。最初はわずか数十秒しか座っていられなかったものの、少しずつ姿勢が安定していき、手すりを使った訓練を重ねることで、やがてトイレまで自力で移動できるようになりました。

食事の際にも、口元まで手を運べるようになり、ご家族とともに食卓を囲む時間を取り戻すことができたのです。

そのとき、ご主人が「また一緒にご飯が食べられて、本当に嬉しかった」と涙ながらに話されていたのを、今でもよく覚えています。

もちろん、病気は進行性でしたので、彼女は最終的に静かに旅立たれました。

けれど、その最期の時間まで寝たきりにはならず、家族と笑顔で過ごせる時間が確かに存在していたのです。

「最後に同じ食卓を囲めたことが、今も心の支えです」というご家族の言葉が、私たちの原動力になっています。

リハビリは、「何もできなくなった人」のためのものではなく、“何かを取り戻したい”という想いに寄り添うプロセスなのだと、この方の支援を通じて改めて実感しました。

高萩:
それはご本人様だけでなく、ご家族にとってもかけがえのない時間でしたね。ただ、リハビリの受け皿自体が少ないといったお話も聞きました。

神戸:
はい。残念ながら、リハビリ型のデイサービスは全体の2割にも満たない状況です。さらに、その中でリタポンテのように理学療法士が常駐している施設は約2割にとどまります。

つまり、リハビリ型施設そのものが少ないうえ、専門家がいる場所はさらに限られており、正しいリハビリを受けたくても受けられない方が多いのです。

加えて、医師やケアマネジャーの中にはリハビリの重要性を十分に認識していない方もおり、「もう寝たきりだから施設入所を」と勧めてしまうケースも見られます。

その結果、座位を保てるまで回復した方でも適切なリハビリを継続できず、他の施設から「リタポンテさんにお願いできませんか」とご紹介いただくこともあります。

医療機関がリハビリに積極的とは限らない

高萩:
医療機関やケアマネージャーが、必ずしも機能回復を前提に動いていない場合があるんですね。

神戸:
ええ。実際、コロナ禍ではリハビリで改善傾向だった方が感染し、医療機関ではリハビリが止まり、結果的に機能が著しく低下してしまうこともありました。

医師は病気を治す専門家ではありますが、医師の決定が生活機能の回復を重視した処置には必ずしもつながらないんです

高萩:
リハビリの重要性を医療者が理解していないことで、かえって状態が悪化してしまうのは悲しいですね…。

神戸:
まさにそのとおりです。

例えば、ある利用者様は脳梗塞後のリハビリで回復傾向にありましたが、誤嚥性肺炎をきっかけに入院。その際、家族の不在もあって医療側とケースワーカーさんの判断で胃ろうにされてしまったんです。

しかも、最新の注入型(栄養と水分の注入が30分以内)ではなく、1回2時間もかかる点滴型のタイプで、3食とるとなると1日6時間も食事にかかる。するとベットの上にいる時間が増え、筋力が落ちて寝たきりになる……という悪循環が起こってしまいました。

上村:
また、元々の誤嚥性肺炎の処方説明では、ツバを飲み込む際に誤って肺に入ってしまったことが原因とのことでした。そのため、胃ろうにしたところで誤嚥性肺炎が再発するリスクの根本的な解決には至りません。

にも関わらず、ご家族や我々のようなリハビリを行っている側の意向も聞かずに、判断する基準や他の選択肢をもらう機会もなく、消極的決断で胃ろうにされてしまう…。それにより、寝たきり状態が続き、介護する家族の負担も増えてしまうのです。

こちらの誤嚥性肺炎を患ったケースでは、ご家族が介護に疲れてしまい、最終的にはリハビリを断念してしまいました。

高萩:
寝たきりになると介護する側の負担も非常に大きくなるのですね。

神戸:
ええ。現在、病院で家族が退院後の介護・看護のスキルを学べる仕組みはほとんど整備されていません。痰の吸引についても、病院で数回程度教えてもらえる機会はあるものの、実際にスキルを習得できるまで丁寧に指導してもらえるわけではないのです。

そのため多くの家庭では、自宅でのケアに不安を抱えながらも自己判断で対応せざるを得ず、ご家族の努力に大きく依存しているのが現状です。

本来であれば、家族が介護を担うことに対して医療側が協力的であることが望ましいのですが、現実はそうとは限りません。

先ほどの例のように、術後の家族の介助負担や退院後の生活における活動量の変化を十分に考慮せず、胃ろうをつけられてしまうケースもあります。こういった長期的な自立ができる可能性を考えない医療によって、介護が一層大変になってしまうのです。

患者やその家族の退院後の生活を考慮しない治療を施して、当たり前のように「治療は終わりました」と帰してしまう。「医療リテラシーや経験を持たない家族」へと、責任がそのままバトンリレーされていく。

こういった医療の傲慢さが「動く事を制限される形となった患者と不安だらけの家族」を生み出しているのです。

これから待ち受けているのは、前述した1日6時間もかかる食事、口腔ケアと吸痰、ほぼ寝たきりの状態から生じる「褥瘡」、そして排泄のコントロールとしての「摘便」などです。

病院にて十分な指導を受けていない患者の家族は、一体どのような心構えを持ち、誰からこれらの看護スキルを学べばよいでしょうか

吸痰は鼻から行うのか、口から行うのか。カテーテルの太さには種類がありますが、その使い分けはどうすればよいのか。病院では毎日交換していたカテーテルも、自宅ではいつ取り替えるべきなのか。

家族は自分たちで学んでいかなければなりません。

また、「摘便」の場合、時間内に便が出てくれるのか。出なければ浣腸をすることになり、その数時間後には「ゆるい便」でおむつの中がいっぱいになってしまう。それらを患者家族が毎回片づけなければなりません。

さらに、やせ細った体の骨が当たることで褥瘡が発生することも多くあります。薬を塗ってもなかなか治らないこともあり、寝たきりによって衰弱していく家族の姿を見守る精神的苦労は計り知れません。

医療側が行う退院後の生活を考えない措置によって、患者とその家族に大きなしわ寄せがいくこともあるのです。

加えて、胃ろうをつけることによる、制度的な問題も見られます。

具体的には、胃ろうによって要介護度が「要介護5」から「要介護4」へと軽度化してしまうのです。

理由は単純で、胃ろうによって「刻み食やとろみ食」を作る必要がなくなるためです。「食事の介助」も不要になったことで、以前に比べて介護の負担が軽減されたと判断されてしまいます。

胃ろうによって寝たきりとなり、介護や看護の負担が増加している。それにも関わらず、要介護度が下がり、上限額や施設利用時間などの引き下げに遭ってしまうこともあるのです。

我々は、医療の判断ひとつで患者さんやその家族がこうした事態に直面するたびに、人間の尊厳とは何かを考えさせられます。

自立した生涯を送るために必要なこととは?

高萩:
医療者側の判断が、ほぼ寝たきりの方の可能性を狭めてしまうこともあるわけですね。

神戸:
はい。だからこそ、ほぼ寝たきりの方でもリハビリによる機能改善を目指すなら、ご本人やご家族が「正しい知識」を持つことが大切です。

実は私自身、家族の介護を通じてその「リハビリの可能性」に気づかされた一人なんです。

父は70代前半でパーキンソン病を発症し、亡くなるまで十数年間にわたり自宅で介護生活を送っていました。その間、週に2回の訪問リハビリを受けてはいましたが、私自身は正直、「劇的に良くなることなんてないだろう」と思っていました。

そんなときに出会ったのが、今リタポンテで理学療法士として働いている上村とその師匠でした。彼女と師匠が一度、自宅まで来てリハビリをしてくれるというので、あまり深く考えずお願いしたのですが――

実際に目にした光景は信じられないものでした。

彼女とその師匠が父にリハビリを施す事40分、長年の寝たきりでガチガチに固まっていた体が少しずつ柔らかくなり、特に拘縮していた左腕は、明らかに動かせる範囲が広がっていったのです。

それまでは着替えもままならず、浴衣にしても介助が大変だったのが、リハビリ後はずいぶん楽になりました。呼吸も大きくできる様になったことで、痰の切れも良くなり、表情にも活気が戻ったように感じました。

「たった30~40分のリハビリでここまで変わるのか」

そう感じたとき、私は衝撃を受けました。同じリハビリでも、PTの技術や経験、そして臨んでくれる姿勢によってこんなにも結果が変わるのか――。

そしてふと、こう思ってしまったんです。

「もし、もっと早く彼女達に出会えていたなら……父はあと3年は自分で動けたんじゃないか」
「そうすれば、本人の自尊心も家族の負担も、きっと少しは違ったはずだ」と。

あの時、私自身がリハビリの重要性を知らなかったことが悔やまれてなりません。

だからこそ今、私はこうしてリハビリの可能性を伝える仕事をしていますし、いのちの尽きるその瞬間までリハビリは必要だったと、あのときの経験がリタポンテの原点になっています。

高萩:
実体験があったからこそ、神戸さんがリハビリの力を信じて、そして広めようとされているんですね。

神戸:
非常に厳しい現実ですが、ほぼ寝たきりの方が正しいリハビリを受けるには、ご本人やご家族が自ら情報を得て、あきらめない・可能性を信じる行動に移さなければならないケースがまだまだ多く、気づいておられない残念なケースがほとんどかもしれません

本来はもっと医療・介護側の連携があって然るべきですが、現状ではそうとは言い切れません。

だからこそ、私たちのようなリハビリに本気で向き合う事業所を、どうか頼っていただきたいと思っています。

ほぼ寝たきりだからと諦める前に

リハビリを受けられるかどうかは、身体の状態だけでなく、周囲の理解や制度の支援体制、そして本人や家族の情報リテラシーにも左右されます。

リタポンテのように、本格的なリハビリを行える施設は多くありません。しかし、だからこそ「動ける可能性がある人」が取り残されてしまうこともあります。

神戸さんや上村さんのお話を通じて見えてきたのは、「本当に何もできないのか?」を丁寧に見つめ直す姿勢の大切さです。

家族が一歩を踏み出せば、本人の生活は大きく変わるかもしれません。

「寝たきりでもリハビリできますか?」「通えるようになるには何から始めれば?」

そんなご不安やご相談に、リタポンテは真摯に向き合います。

まずは訪問リハビリでの準備から、デイサービスでの本格的な機能回復まで。

一人ひとりの可能性をあきらめずに、私たちはご本人とご家族に寄り添います。

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