RITAPONTE 新宿区のリハビリ専門デイサービス リタポンテ

総合事業とは?仕組みを対象事業者がわかりやすく解説

「総合事業」という言葉をお聞きになったこと、あるでしょうか?

耳にすることはあっても、制度の具体的な内容や、介護保険との違いがよくわからない方は多いでしょう。

総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)は、要支援の方や、介護が必要になる前の段階にある高齢者が、地域の特色を活かした介護予防サービスを利用できる仕組みです。

運動や生活支援、交流活動を通じて「介護が必要になる前に予防する」ことを目的としています。

本記事では、総合事業の概要や介護保険サービスとの違い、利用できるサービスの種類や費用の目安まで、対象事業者の視点からわかりやすく解説します。

読み終えたときには、「自分や家族がどんな場面で利用できるのか」がイメージできるはずです。

取締役/理学療法士 上村 理絵

取締役/理学療法士上村 理絵

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家族がいつまでも元気で自立した生活を送れるよう日常生活に必要な身体機能のリハビリに特化したディサービスを運営しています。
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1.総合事業とは?

まず、総合事業の概要や介護保険サービスとの違いを解説します。

1-1.総合事業の概要

総合事業とは、正式名称を「介護予防・日常生活支援総合事業」といい、介護保険制度の一環として市区町村が運営している制度です。

高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、自治体が地域の実情に合わせてサービスを整備し、住民・ボランティア・NPOなど幅広い立場の方が参加して支え合う体制をつくることを目的としています。

大きな特徴は、要支援1・2に認定された方だけでなく、「基本チェックリスト」により「事業対象者」と判定された方も介護予防サービスを利用できる点です。これにより、要介護認定を受ける前の段階から、通所型や訪問型の支援を受けられるようになりました。

従来は介護認定が必要だった以下のサービスも、予防的に活用できます。

  • 介護予防訪問介護(ホームヘルプ)
  • 介護予防通所介護(デイサービス)

さらに、一部自治体では「ミニデイサービス」と呼ばれる制度があり、サービス内容を絞ることで自己負担を抑えた新しいメニューを導入しています。利用者の多様なニーズに応じて、より柔軟で負担の少ない支援が可能となっています。

1-2.介護保険サービスとの違いは?

介護保険サービスと総合事業は、どちらも高齢者の生活を支えるための仕組みですが、対象者や利用の仕方、サービス内容に違いがあります。

項目介護保険サービス総合事業
対象者要介護1〜5に認定された方要支援1・2の方、または「基本チェックリスト」で生活機能の低下があると認定された事業対象者
目的生活全般に介助が必要な人への支援介護が必要になる前の段階での予防・自立支援
サービス内容訪問介護、訪問看護、通所介護、施設入所など全国一律の介護サービス市区町村ごとに設計される通所型・訪問型の介護予防サービス(リハビリ体操、運動教室、交流活動なども含む)
運営主体国の基準に基づき、都道府県または市区町村が提供市区町村が地域の実情に応じて柔軟に設計・運営
特徴「介護が必要な人」が対象で、介助・介護が中心「介護が必要になる前の人」が対象で、予防や生活支援に重点

まず、介護保険サービスは原則として「要介護1〜5」に認定された方が対象です。食事・入浴・排せつの介助など、日常生活を送るうえで継続的な介護が必要な方を支援する仕組みです。

一方、総合事業は「要支援1・2」の方に加え、「基本チェックリスト」で生活機能の低下が見られた「事業対象者」の方も利用できます。まだ介護認定を受けていない段階から介護予防のサービスを活用できるのが大きな特徴です。

また、サービスの内容にも違いがあります。

介護保険では全国一律の基準に沿ったサービスが提供されるのに対し、総合事業は市区町村ごとに地域の特色を活かしたプログラムや低負担型サービスが用意されています。

例えば、リハビリ体操や運動教室、交流活動など、より「予防」に重点を置いた取り組みが多いのが特徴です。

介護保険サービスが「すでに介護が必要な方」を対象にしているのに対し、総合事業は「介護が必要になる前の段階から予防を始められる」仕組みだといえます。

2.総合事業の基本チェックリストとは?

総合事業を利用できるかどうかを判定するために用いられるのが、基本チェックリストです。これは厚生労働省が定めた25項目の質問票で、本人の生活機能や健康状態を把握するために作られています。

上記チェックリストを実施して、下記のいずれかに該当する場合は総合事業の「事業対象者」として認定されます。

リストには、「歩行や階段の昇り降りが難しくなっていないか」「物忘れが増えてきていないか」など、日常生活に直結する質問が並んでいます。

回答は「はい/いいえ」で答える形式で、一定数の項目に該当すると「事業対象者」として判定され、総合事業のサービスを利用可能です。

なお、このチェックリストは市区町村ごとに若干の表現や運用方法が異なる場合があります。

新宿区では公開されていませんが、他の自治体では公式サイトで公開されているケースもあるので、お住いの地域の情報を確認してみましょう。

3.総合事業の種類

総合事業は大きく分けて、介護保険に基づいた介護予防サービスを活用した「サービス・活動事業」と、民間やボランティアが中心となって行う「一般介護予防事業」に分けられます。

ここでは、それぞれの事業内容を解説します。

3-1.サービス・活動事業

総合事業のうち、「サービス・活動事業」は、要支援1・2の方や「基本チェックリスト」に該当した「事業対象者」の方を対象に実施される介護予防サービスです。その具体的な内容は、以下の4つに区分されます

サービス種類概要
訪問型サービスホームヘルパーなどが自宅を訪問し、身体介護(入浴・排せつ)や生活援助(掃除・調理など)を行うサービス。
通所型サービスデイサービスのような施設で、入浴・食事・機能訓練・交流などを通して心身を維持するサービス。
その他の生活支援サービス配食サービス(栄養改善)や住民ボランティアによる見守りなど、生活の手助けを提供。
介護予防ケアマネジメント地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成し、利用者個々の関心や困りごとに沿って、適切なサービスを調整・提案。

「サービス・活動事業」を利用する際は、介護予防ケアマネジメントによって、介護予防ケアプランを作成し、ケアプランに沿ってサービスを利用します。

65歳以上であれば誰でも利用できる一般介護予防事業とは異なり、専門家が作成した計画に沿って介護予防を行うことが特徴です。

3-2.一般介護予防事業

総合事業のもうひとつの柱が「一般介護予防事業」です。

こちらは、要支援認定や事業対象者に限らず、地域に暮らす65歳以上の高齢者を対象にした取り組みです。要支援やチェックリストの認定を受けずとも利用でき、健康づくりや社会参加を促すことを目的としています。

具体的には、市区町村が中心となって以下のような活動を展開します。

  • 運動教室や体操プログラム:高齢者向けの筋力トレーニングや転倒予防体操
  • 栄養改善や口腔ケアの講座:食生活の見直しや口腔機能の維持に関する学びの場を設置
  • 認知症予防の取り組み:脳トレ、趣味活動、交流イベントなどを通じた認知機能の低下予防
  • 地域交流や参加促進:ボランティア活動等を支援し、孤立防止や地域での支え合いを実現

一般介護予防事業は、「まだ元気なうちから誰でも参加できる健康づくりプログラム」です。要支援や介護予防が必要と判断される前段階から、リスクを未然に防ぐことを狙いとしています。

サービス・活動事業が「個々の支援」に近い性格を持つのに対し、一般介護予防事業は「地域ぐるみで取り組む介護予防」と位置づけられる点が特徴です。

4.総合事業を利用するメリットは?

総合事業を利用するメリットは、以下の2つがあげられます。

4-1.介護認定なしで予防サービスを利用できる

総合事業の特徴は、介護認定を受けなくても予防サービスを利用できることです。

通常の介護保険サービスは、要介護1以上の認定が必要ですが、総合事業では「基本チェックリスト」で生活機能の低下が見られた「事業対象者」であれば、通所型や訪問型の支援を受けられます。

「歩行に不安が出てきた」「買い物や家事が負担になってきた」という段階でも、運動プログラムや生活支援を早めに利用できるため、要介護状態に進むリスクを減らせます

総合事業は介護が必要になる前から手を打てる制度であり、自立した生活を長く続けるための大きな助けとなるのです。

関連記事:介護予防とは?考え方や目的・具体例を解説

4-2.地域の特色ある支援を活用できる

総合事業は、市区町村ごとに特色ある支援を受けられる点もメリットです。

介護保険サービスは全国一律の基準に基づいて提供されますが、総合事業は地域の実情に合わせて柔軟に設計されています。そのため、自治体によって支援の形が少しずつ異なり、住民の暮らしに寄り添ったサービスが展開されているのです。

例えば、ある地域では体操教室やウォーキングクラブといった運動習慣づくりに力を入れている一方、別の地域では交流サロンや趣味活動を通じた「人とのつながりづくり」を重視しています。さらに、買い物支援や配食サービス、ボランティアによる見守りなど、日常生活を支える独自の取り組みが行われている自治体も少なくありません。

このように、総合事業は「地域の文化や課題に合わせたオーダーメイドの支援」を受けられる点が大きな魅力です。住んでいる場所によって得られるサービスが違うからこそ、自分の地域にどのような事業があるのかを確認してみることが、介護予防の第一歩となります。

5.総合事業の利用にかかる費用

総合事業の利用料金は、市区町村ごとに設定されており、地域によって差があります。ここでは弊社リタポンテがサービス事務所を構える東京都新宿区の料金を例に紹介します。

サービス種類自己負担額(1割負担の場合)内容・補足
訪問型サービス1回 328円ホームヘルパーによる身体介護(入浴・排せつなど)
生活援助サービス1回 163円掃除・洗濯・調理などの生活援助
通所介護相当サービス週1回:1回 476円週2回:1回 488円デイサービスに準じたサービス。運動・入浴・食事・交流など
※栄養改善や口腔機能向上プログラムを利用すると加算あり※食費・日常生活費は別途負担
ミニデイサービス1回 208円短時間型デイサービス。運動や交流など軽めのプログラム中心
通所短期集中サービス(リハビリ等)1回 576円専門職による機能訓練やリハビリプログラム

出典:介護予防・日常生活支援総合事業のご案内|新宿区

※上記は新宿区の場合に限られます。他の自治体では金額やサービス内容が異なるため、利用を検討する際は必ずお住まいの市区町村の案内を確認しましょう。

このように、新宿区では自己負担が比較的抑えられており、介護保険を利用しながら予防的なサービスを受けられる仕組みになっています。

6.総合事業は週に何回も使える?

結論から言えば、総合事業の利用回数は、自治体の予算や本人の状態に基づいて決まるため、一律に「何回まで」とは決まっていません

新宿区の例では、通所型サービスは週2回程度といった回数設定があり、必要に応じて調整されます。訪問型サービスについても、生活援助や身体介護の内容に応じて回数が決められる仕組みです。

ここで大切なのは、総合事業の運営は国から地方自治体へ交付される交付金を財源として行われているという点です。つまり、市区町村に分配された予算の範囲内でサービスが提供されるため、地域ごとに利用できるサービスの回数や料金に違いがあるのです。

そのため、「もっと頻繁に使いたい」と思っても、自治体の予算配分や事業設計によっては回数に制限が設けられる場合があります。もし利用回数が物足りない場合は、地域包括支援センターに相談し、一般介護予防事業を組み合わせながら補うのが現実的な方法です。

7.総合事業を使うならリハビリデイサービスがおすすめな理由

総合事業で介護予防サービスを利用する場合は、リハビリ専門のデイサービスを利用するのがおすすめです。

リハビリ専門のデイサービスとは、一般的なデイサービスのような食事や入浴、レクリエーションなどがない代わりに、機能向上訓練に特化したデイサービスです。

なかには理学療法士などのリハビリ専門職が評価したプログラムを提供している施設もあるため、本格的な身体機能改善を目指せ、高い介護予防効果が期待できます。

ここでは、リハビリ専門のデイサービスがおすすめな理由を解説します。

関連記事:リハビリ特化型デイサービスとは?料金や訓練内容など詳しく解説

7-1.寝たきりを防ぐには運動しかない

高齢期にもっとも避けたい状態のひとつが「寝たきり」です。一度寝たきりになると回復は難しく、介護の負担も大きくなります。実はこの寝たきりを防ぐためには、運動が最も重要です。

年齢を重ねると筋力や持久力は自然に衰えます。とくに下半身の筋力低下は転倒や骨折を招き、そのまま寝たきりにつながる大きなリスク要因です。

反対に、定期的な運動を取り入れることで筋力やバランス感覚を維持し、転倒を防ぎ、日常生活を自立して続けられる可能性が高まります。

リハビリデイサービスでは、一般的なデイサービスとは違い、運動を中心としたプログラムを提供しています。なかでもリタポンテのような一部のデイサービスでは、理学療法士が常駐して一人ひとりの身体機能に合わせた運動プログラムを受けることが可能です。

自宅での自主トレーニングと違い、専門的な視点で正しい姿勢や負荷量を指導してもらえるため、安全かつ効果的なトレーニングが受けられます。

寝たきりを予防するためには「とにかく動くこと」が何よりも大切。その環境を整えてくれるのが、リハビリデイサービスの大きな強みです。

関連記事:寝たきりにならないためにできることは?今日から自分と家族ができる対策を紹介

7-2.定期的な運動は認知機能の維持にも効果的

運動は筋力や体力を維持するだけでなく、認知機能の低下を防ぐ効果があることも広く知られています。

近年の研究では、ウォーキングや筋力トレーニングといった有酸素・無酸素運動が脳の血流を改善し、記憶や判断力の維持に役立つことが報告されています。

また、高齢者にとっては「体を動かす=人と関わるきっかけ」にもなりやすく、認知症予防に効果的です。自宅にこもりがちな生活では脳への刺激が減り、認知機能の低下につながりやすいため、運動と交流の両方を取り入れることが重要です。

リハビリデイサービスでは、体力に合わせた無理のない運動プログラムに加え、同世代の利用者との会話や交流の機会も自然に生まれます。

「体を鍛える」と「脳を刺激する」を同時に実現できる環境だからこそ、定期的に通う価値があるといえるでしょう。

7-3.できるという経験が自信と自立につながる

高齢になると「もう自分にはできないのではないか」と不安を感じたり、挑戦する意欲を失ったりすることが少なくありません。

しかし、日常的に運動やリハビリを続けて「まだできる」「思ったより動ける」と実感できることは、大きな自信につながります。

この「できた」という小さな成功体験の積み重ねが、前向きな気持ちを生み、日常生活を自立して送る原動力になります。「一人で立ち上がれた」「階段を手すりなしで上がれた」といった達成感は、心理面にも良い影響を与え、「これもできるかもしれない」と前向きな挑戦意識を育めるでしょう。

リハビリデイサービスの中でも理学療法士など専門職が常駐している施設では、利用者一人ひとりに合わせた目標を設定し、それを達成できるよう支援します。

自分の成長を実感できる環境が整っているからこそ、「もっとやってみよう」という意欲が生まれ、自立した生活を長く続けることにつながっていくのです。

8.総合事業を活用してリタポンテを利用しよう

弊社リタポンテは総合事業の認定を受けることで、介護保険の適用を受けながら介護予防サービスを受けられます。

ここでは、リタポンテの特徴を以下の内容で解説します。

8-1.リタポンテの特徴

リタポンテは、理学療法士をはじめとするリハビリ専門職が常駐し、一人ひとりの身体機能や生活課題に合わせた「個別機能訓練プログラム」を提供しているリハビリ特化型のデイサービスです。

一般的なデイサービスのような食事・入浴・娯楽中心の内容ではなく、「身体機能の維持・改善」に特化した短時間型のリハビリを行っています。利用者は必要な運動だけに集中できるため、効率的に機能回復を目指せるのが特徴です。

また、医療・介護の専門知識をもつスタッフが常にサポートしており、転倒予防や歩行改善、関節可動域の向上など、目的に合わせた安全な運動プログラムを実施します。

さらに、リタポンテは総合事業の対象事業所として認定を受けており、要支援認定や「事業対象者」として認定された方であれば、介護保険を適用して利用することが可能です。これにより、自己負担を抑えながら、専門的なリハビリを継続的に受けられる仕組みが整っています。

また、リタポンテでは「自分でできることを増やす」ことを重視し、筋力の強化だけでなく、日常生活動作(ADL)の改善を目的とした実践的なリハビリにも力を入れています。

利用者同士の交流や笑顔を大切にしながら、心身の健康をトータルに支援している点も魅力です。

総合事業を活用することで、介護が必要になる前の段階から安心して通える場所として、多くの高齢者に選ばれています。

8-2.リタポンテを利用した体験談

リタポンテでは、要介護2の認定を受けた方も、リハビリデイサービスを通じて、日常生活の楽しさを取り戻しています。
今回ご紹介するのは、神奈川県横浜市にお住まいの長谷川さんご家族の体験です。

コロナによる長期入院を経て退院されたお父様は、歩くこともままならず、ご家族も不安な日々を過ごしていました。そんな中、リタポンテにご相談いただき、週2回のリハビリを開始。最初はほんの数歩進むだけでも大変でしたが、スタッフが明るく寄り添いながら、一歩一歩着実にサポートしました。

リハビリに取り組むうちに、「今日は歩けた!」「疲れずに座っていられた!」と、少しずつできることが増え、ご本人もリタポンテへ通うのを楽しみにしてくださるように。半年後には、杖なしで歩行できるまでに回復され、ご家族からも「家の中が明るくなりました」とのお言葉をいただきました

5-2.リタポンテを利用した人や家族の体験談

リタポンテでは、ご本人の体力や気持ちに合わせたリハビリを提供し、小さな成功体験を積み重ねることで自信と笑顔を引き出していきます。

9.総合事業に関するよくある質問

最後に、総合事業に関するよくある質問を紹介します。

9-1.総合事業とはいつから始まった?

総合事業は、平成29年(2017年)4月から全国で本格的に始まりました。

それ以前は、要支援1・2と判定された方への訪問介護や通所介護は、国が一律に定めた基準に沿ってサービスが提供されていました。しかし、それだけでは地域ごとの実情や高齢者の多様なニーズに十分対応できないという課題がありました。

そこで導入されたのが総合事業です。

従来の介護予防サービスは継続しつつ、地域の住民やNPO、ボランティア、企業など多様な主体が関わる仕組みを整え、「地域全体で高齢者を支える」新しい形がスタートしました。

9-2.総合事業の対象者とは?

総合事業を利用できるのは、大きく分けて次の2つのケースです。

  • 要支援1・2と認定された方:介護保険制度において「要支援」と判定された方
  • 事業対象者と判定された方:介護認定は受けていないものの、「基本チェックリスト」で生活機能の低下が見られた方

例えば、「最近歩くのがつらい」「買い物や家事に不安を感じる」といった軽度の状態でもチェックリストにより認定されれば、介護認定を受けずとも介護予防サービスを利用可能です。

9-3.予防給付と総合事業の違いは?

総合事業を理解するうえで混同しやすいのが「予防給付」との違いです。

予防給付は、かつて介護保険制度の中で要支援1・2の方に対して提供されていたサービスの枠組みです。訪問介護や通所介護など、国が一律の基準を設けて運営していました。

一方で、総合事業は平成29年(2017年)から予防給付の一部を移行して始まった制度です。従来の訪問介護や通所介護は総合事業に引き継がれ、さらに自治体が独自に工夫したサービスを加えられるようになりました。これにより、地域の特性や高齢者の多様なニーズに合わせた柔軟な支援が可能になっています。

つまり、総合事業は「予防給付を発展させた制度」であり、より地域密着型の介護予防を実現するものだといえます。

総合事業を活用してすぐにでも介護予防しよう

総合事業は、要介護認定を受ける前の段階から利用できる、貴重な介護予防の仕組みです。運動や生活支援、地域交流などを通じて、心身の衰えを早い段階で防ぎ、自立した暮らしを長く続けられます。

また、サービス内容は地域の特色に合わせて柔軟に設計されており、身近なところで無理なく続けられるのも大きな魅力です。介護保険を利用することで費用の負担も抑えられるため、ジムや習い事に通う感覚で始められる方も少なくありません。

「まだ大丈夫」と思っているうちにこそ、予防を始めることが何より大切です。総合事業を上手に活用し、元気な毎日を未来につなげていきましょう。